多ジャンルで活躍するカメラマンが集結。Vol.3カメラマンの育成法や業務内容の違いとは?

Introduction
様々なジャンルの現場で活躍するfmtのカメラマンたち。普段は顔を合わせない他セクションのカメラマンたちが一堂に会し、Vol.3ではカメラマンとしてのキャリアアップや今後の目標、そしてお互いのジャンルへの関心について語り合いました。

制作技術部 TD・統括
畠山さん
2009年入社
現在の担当番組:みんなのKEIBA、ぽかぽか、サン!シャインなどのSW、東京アイドルフェスティバル(TIF)、日本高校生ダンス部選手権

制作技術部 SW・カメラ
佐藤さん
2018年入社
現在の担当番組:スワローズベースボールライブ、SVリーグ、ジャンクスポーツ

撮影取材部 スポーツ撮影取材
猪瀬さん
2008年入社
現在の担当番組:すぽると!、イット、Live NEWSαなどのフジテレビのスポーツニュース、バイクカメラでマラソンや駅伝などの中継なども担当

撮影取材部 スポーツ撮影取材
室伏さん
2016年入社
現在の担当番組:S☆1、news23、Nスタなどの、TBSのスポーツニュース、バイクカメラでマラソンや駅伝などの中継なども担当

撮影取材部 報道技術
林口さん
2001年入社
現在の担当番組:Live News days、イット! 報道案件発生時は、めざましテレビやサン!シャインなども担当。またヘリカメラでの取材・中継も担当
Session - 01
カメラマンになってからのキャリアアップについて

Session - 02
これからの目標・やってみたいこと

猪瀬さん
来年のアメリカ・カナダ・メキシコのサッカーのW杯に行きたいです。過去大会、ブラジル・ロシアといかせていただいていたのですが、カタールが社内研修で途切れてしまったので、来年こそは行きたいですね。

畠山さん
海外出張などの世界に出ていくことのできる仕事をしていきたいです。fmtは世界に通用する会社だとは思っていますが、海外の方が進歩している機材だったり、システムもあると思うので、そう言ったものも学んでいきたいですね。

佐藤さん
バレーボールの中継でロス五輪に行きたいですね。あとは、少しづつスイッチャーも増えてきてはいるのですが、スイッチャーもやりつつ、カメラマンとしても最前線にいたいなと思います。

室伏さん
猪瀬さんと同じにはなってしまいますが、私はサッカーが好きでこの会社に入ったので、W杯にはいつか行ってみたいですね。あとは、オリンピックにもまた行きたいです。

林口さん
私も、海外の仕事を増やして行きたいですね。報道では総理や大臣について海外に行くので、そういった取材のカメラクルーをやってみたいというのもあります。2025年6月にカナダで行われたG7国際会議にて、総理や海外の首脳との会談などを取材した素材を、日本に伝送する仕事を担当させていただきました。伝送の仕事もそうなのですが、色々な経験値を伸ばしていければ良いなと思います。

Session - 03
別ジャンルのカメラマンに聞きたいこと
(室伏さん→林口さん)報道の現場で最近撮影した中で1番の大事件は?

林口さん
以前、京王線の車両内でライターに火をつけ犯人が暴れた事件があったと思います。その日はハロウィン当日、そして選挙特番放送中で、私は選挙担当としてフジテレビ局内で業務をしていたのですが、急遽ヘリで飛んでくれということになりまして、急いでヘリポートへ向かい、選挙特番の放送中にカットインのニュースを⼊れるというヘリ中継をしたのが、最近の中では印象に残っています。
(猪瀬さん→佐藤さん・畠山さん)中継現場での今までで一番の失敗は?

佐藤さん
プロ野球のセッティングの時にスタンダードカメラを倒してしまい、レンズも凹んでしまったことですかね。ああいう時って本当に景色がスローモーションに見えるんですね。ゆっくりカメラが倒れていくのが見えました。

畠山さん
昨年の炎天下の中でやったダンス選手権の中継の時に、スイッチャーとVE周りの電源が落ちてしまい、急に画面が真っ暗になってしまったんです。不幸中の幸いで、1分以内には復旧できたのでなんとかはなったのですが、6時間くらいある放送の中で、最初の1時間半時点くらいでその状況が起きてしまい、残り4時間半くらいあるけどもう終わった…と絶望しました。原因は熱暴走だろう、ということにはなったのですが、VEさんやドライバーさんの働きのおかげでなんとかなりましたが、私はスイッチャー卓の前で頭を抱えて待つことしかできませんでした。
VE→ENGカメラマン
前回のVEクロストークの際にカメラマンたちに聞いてみたいことを募集しました!
「アイリス(明るさ)の調整が上手いのはどうやってスキル習得しているの?」

室伏さん
まずはファインダーが白黒で見ているというのが大きいんじゃないですか?

佐藤さん
制作技術は基本カラーが多いですね。僕は白黒ビューファーは通ってないです(笑)

林口さん
報道はほとんどカラーですが、用途によって白黒とカラーを使い分けます。

佐藤さん
僕らはなかなかアイリスをいじるという機会もないですし、画に集中させてもらえているという意味ではVEさんとの分業ですね!

林口さん
逆もあって、普段ENGのカメラマンが中継車のカメラをやることになると、普段はアイリスも自分で操作しているところを、VEが操作し、自身が操作しなくて良いということになると、少し不安になるというのもあるあるなのかもしれません(笑)

室伏さん
カメラをやり始めた時からアイリスも全て込みで練習しているので、アイリスを触るのが当たり前になっている、というところが大きいですかね。

Session - 04








佐藤さん
中継で言うと、まず最初は必要性の低いカメラから担当することになりますね。サッカーで言うと監督カメラ、野球で言うと放送席などの人だけを撮るカメラから担当するようになります。腕がついていくようになると、どんどん必要性の高いカメラを任されるようになったり、カメラチーフになって自分がメンバーを決めたり、制作とのカメラポジションや台数の話ができるようになっていくのが、カメラマンとしてのキャリアアップですかね。
野球で言うと、放送席や飛び出しと言われるヒーローインタビューなどのカメラから始まって、ベースのPCを撮るカメラ、バックネット裏のピッチャーやホームインを撮るカメラなど、順に担当していくようになります。そこからはどんなカメラマンになりたいかによって目指すカメラ位置が変わってきますね。同じような3・4カメでも、役割の多さや自由度の違いもあるんですけど、それは今神宮球場のヤクルト戦で担当しているカメラマンの性格とかを見てもらったらわかると思います(笑)
畠山さん
これは他部署の方に伝わっているのでしょうか…(笑)
佐藤さん
カメラマンが全員、感覚派のカメラマンばかりでは中継は成り立たないので、真面目な人もいて感覚派の人もいるから成り立っているので、そのカメラマンの適性にあったポジションにつけることや、人選も大切になってきます。
畠山さん
スタジオ周りのカメラマンとしてのキャリアアップの話をすると、最初はMCだけを撮るカメラや、GS(グループショット)だけを撮るカメラから始まり、そこから部分的なGSや抜きのカメラ、フリーのカメラなどを担当するようになり、その後はカメラチーフになって指示する側に回るようになります。カメラチーフになれば、番組によっては自分のやりたいように撮影することもできますし、自分のやりたいカメラを担当しやすくなります。そうして腕を磨いてキャリアアップしていき、最終的にはスイッチャーを目指します。もちろんスイッチャーになりたくないと言う人もいるのですが、私はスイッチャーを経験してみたいと言う思いがあったので挑戦し、現在はスイッチャーとして仕事をすることが多いです。
スイッチャーは、現場にある複数台のカメラからどれを選んで、番組として流すのかを決める役割。それぞれのカメラに指示をする役割でもあるので、カメラマンを経験しないとスイッチャーにはなれませんね。中継とかだったら十何台あるカメラのポジションを把握して、どのカメラがどこを撮ることができるのか、またカメラマンの癖や特徴も把握しておくことで円滑にスイッチングすることができます。そういったキャリアアップ方法も中継やスタジオのカメラにはあります。
猪瀬さん
スポーツのENGカメラは、やはり最初はプロ野球の1塁側の下カメからですかね。シーズン中は毎日のようにどこかしらの球場に取材で行っていて年間の試合数も多いですし、中継映像をもらえる球場も多いことから、野球の下カメは最初に挑戦するハードルが低いカメラではありますね。野球の中でも最初は、その中継映像が貰える球場での下カメから始まって、中継映像のない東京ドームでの巨人戦の下カメを任せてもらえるようになりたいと言うのが一つの目標だったりしますね。そこからPCのベースの画を撮影するセンターカメラ、在京局の代表制で回している球を追う上カメへとステップアップしていけるように練習を積むことになります。
室伏さん
そうですね。カメラマンとしては、プロ野球の下カメからやり始めると、プロ野球だけではなく、サッカーなどの他の競技や選手の練習取材、インタビュー取材などの色々な仕事に徐々に行くようになっていきます。
林口さん
ゴルフの球受けとかは、ある程度キャリア積むと皆できるようになるものなんですか?
猪瀬さん
ロケなどの合間の時間で練習していますね。プロゴルファーの球だったらある程度球の軌道も予測しやすいので、追いやすいのですが、やはり番組などでアマチュアの出演者の方の球は予測不能なので難しいですね…。出演者の方が打ったタイミングでカメラ振り上げても弾が見えなくて、やってしまったと思いながらも着弾だけは撮ろうと思って構えていたんですけど、いつになっても球が来なくておかしいなと思っていたら、出演者が空振りしてた、なんてこともありましたね(笑)
林口さん
報道技術だと、最初は決まり事がある仕事、大臣や官僚の方の囲み取材などからカメラをやり始めることが多いですかね。そのあとは、拘置所や警察署からの出入りの瞬間を撮影したり、番組の企画やキャスター付きの取材などにも行くようになりますね。代表取材と言って、各局が現場を代表して撮影し、自局から各局に分岐する取材などもあるので、そう言った仕事はより責任が重くなることもあって、ある程度キャリアを積んだ人が行くことが多いですね。そして、総理の外遊や皇族の方々の行事で海外に同行し取材を行うなど、海外での仕事の機会も少なくはありませんね。あとは、ヘリコプターからの取材になると、搭乗するのはパイロットさん、整備士さんと自分の3人が基本になります。テレビの技術としては自分1人しか搭乗しない為、カメラだけでなく音声・VE・回線システムのすべての操作をカメラマン自身が担うことになります。トラブルが起こったとしてもすべて対処しなければならないので、しっかりと広い知識も持っていないといけません。また、「第一級陸上特殊無線技士」と言う資格を持っていないと、ヘリで使用する電波を使えない為、ヘリを担当したい人はまずはその免許の取得が必須事項になってきます。報道技術の中では必ずしもヘリカメラをやるということではありません。ENGカメラマンになる人も、ヘリカメラを目指す人もいて、キャリアアップ方法は一つではありません。