映像技術×映像技術"縁の下の力持ち" 映像制作には欠かせないビデオエンジニアの魅力とは vol.2
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Introduction
映像制作における”脳みそ”のような存在であるビデオエンジニア。Vol.1に続き、難しさの裏に隠された魅力に迫りながら、正直な想いを語り合いました。

制作技術部
藤井さん
2024年入社
ロードレースやバラエティ番組など、スタジオ・中継問わず様々な現場で日々奮闘中。 《入社後1番のピンチ》収録機に音素材が届かず、収録漏れになりかけたこと。

制作技術部
堺さん
2018年入社
現在は野球、ゴルフ、ロードレース、バレーボールなど様々なスポーツ中継業務を担当し、新中継車の建造にも携わる。 《入社後1番のピンチ》収録素材にノイズが乗っていたことが発覚し、後日修正と撮り直しをしたこと。

制作技術部
蜷川さん
2009年入社
野球、フィギュアスケート、ボクシングなどのスポーツ中継からスタジオ、ロケなど様々な経験を経て、現在は主にスポーツ中継のVEを担当。新中継車建造の中核も担う。 《入社後1番のピンチ》飛行機に乗り遅れ、現場入りが遅れたこと。
Session - 01
藤井さんへ質問 ー 入社から丸1年。振り返るとどんな年だった? ー

Session - 02
藤井さんから先輩へ質問① ー 大型番組のチーフになるにはどのような経験が必要? ー

藤井さん
先輩方がどういう歩み方をして大型番組のチーフになっていったのかお聞きしたいです。

堺さん
蜷川さん最初の中継車チーフデビューは何でした?

蜷川さん
デビューはプロ野球中継SBL(SWALLOWS BASEBALL L!VE)だったと思う。
うちの会社で平日でもやっていて試合数も多い生中継の現場だしね。

堺さん
これが中・小型くらいの規模ですよね。
僕も野球をやって、各中継車の使い方を覚えて、中継の番組作りの流れを覚えた上で、地上波野球とか日本シリーズとかもやりましたね。
基礎になっている中継があって、結局はそれにどんどん肉付けされていくだけだから、ゴルフとか春高バレーとかも細かく切っていくとやっていることは一緒というか…
ただ複雑に絡み合っているだけだから、それを自分でほどいて理解して、こうすればこうできるなっていうのを繰り返していけば自然とそれが頭に入ってくる。基本となる中継をやるに越したことはないってことかな。

藤井さん
SBLが中継の登竜門のような感じですか?

蜷川さん
SBLやってたら他の番組も分かってくることはあるね。
自分で資料を作れるようになると理解が追いついてきて、これを繰り返していくとどんどん繋がってくるからね。

堺さん
0から一気に大きい番組をやることは現実的じゃないから、
やっぱり小規模の中継をどんどんやってステップアップしていけば自然と大きい仕事ができるし、先輩たちに質問して助けも借りて経験を増やしていってほしいな。
まずは先輩がやっている番組の仕組みを理解して、徐々にその人がいなくても「僕これできますよ」ぐらいになっていってほしい!

蜷川さん
そうだね。大型番組のセカンドポジションぐらいになった時に、きっと「来年はチーフよろしくね」って話になるよ。あと、後輩がやっている番組のシステムをみて、「こういう新しいやり方があるのか」って学ぶこともあるから、お互い高め合っていけたらいいな。

藤井さん
これから自分で考えてシステムを作らないといけない機会が来るので、頑張っていこうと思います!

Session - 03
藤井さんから先輩へ質問② ー 中継車プロジェクト ー

藤井さん
僕は中継車を造りたいって思いがあってfmtに入社しました。
中継車を造る上でこれは絶対大切ということや、必要なスキルに関してお聞きしたいです。

蜷川さん
まず、想いとしては、みんなの意見を集約して使いやすい車にしたいっていうのがメインであったから、今後使っていく後輩の代表ってことで堺にもプロジェクトチームに入ってもらいました。
中継車を造る上で大事にしている考え方は、まずは大型番組に就いた時にいかにシステムを容易に構築できるようにするかということ、そしてスタンダードの小中規模の中継の時は、事前の機材準備をしないでも成立する車にしたいっていうところかな。

藤井さん
プロジェクトメンバーには、ゴルフ中継をやっている方から、サッカー、競馬、テニスなど色々なジャンルの担当者がいますが、そのジャンルによって「これは欲しい」「これはいらない」など意見は沢山出ますか?

蜷川さん
めちゃくちゃ出るね。
基本的にみんな自分の担当している番組をやりやすくする事が第1優先だからね(笑)

堺さん
fmtでは中継車を3台持っているけど、中継車によって特色もあるし、共通して残したい部分とか、この新しい中継車には何の機能を残すのか、もしくは残さないのかとか、この機能は自分の番組だと使っているとか使ってないとか、そういう知見はいろんな先輩からも出るし。

蜷川さん
それを集約して全体でどの番組でも使える車にしないといけないのが1番大事だけど1番難しい所だね。
藤井がもし次の中継車の更新プロジェクトを担当するとしたら、その時にはIPにするのか4Kにするのかとか、またシステムが大きく変わってるだろうね。

藤井さん
ぜひ携わりたいので、新しい機材のことも頭に入れておきます!

堺さん
現行の機材、最新の機材への知識もそうだし、そこから予測を立てて各メーカーが今後どういう動向かを知る事も大切だね。やっぱりどこのメーカーも8Kに振らなくなってきてるし。

蜷川さん
4Kもほぼ出尽くした、IPよりもクラウドに移行しているイメージはあるよね。

堺さん
SDIからNDIに変わるのかとか動向を探りつつ、先の予定・予測も立てつつ、こういう新機材が出るだろうなという流れの中で、今まで我々がやってきている中継の歴史を続けていけるようなシステムに落とし込むにはっていうところだから。色々なことを知っておいた方がプロジェクトに入って活躍できる。

蜷川さん
いろんな中継に行った方がいいよ。

藤井さん
そうですね。今年はいっぱい行けるように頑張ります!

Session - 04
藤井さんから先輩へ質問③ ー VEが楽しくなってきたきっかけとは? ー

藤井さん
VEはシステムの中核を担うので、毎回番組でやることが多くて、今の僕からしたらまだ楽しいより大変だっていう気持ちの方が勝っちゃうんです。特に春高バレーの時とかは、出先の機材管理とかを自分でやらないといけないけれど、上手くできなくて…
何でできなかったんだろうって悔しくて。お2人が楽しいという感情が出てきたのはどのくらいからでしたか?

蜷川さん
3年じゃない?3年目ぐらいでやっとシステムを理解し始めて、余裕が持てるようになったら、先輩が今どうして欲しいのかっていうのが分かるようになって、効率よく動けるようになった。「これ先にやっておいてくれたから楽だよ」って言ってくれたり、色々任せてもらえるようになったり。チーフをやり始めてシステムの理解度が上がったぐらいからな気がするな。

堺さん
僕も色々な仕事を任せてもらえるようになってきてからだったかな。
2年目の時に室内ロケのチーフを担当して、そこから色々な現場にシフトしていくことが増えてきたんだけど、先輩に対してちゃんとした質問ができるようになってきてから変わってきた気がする。

藤井さん
どういった質問ですか?

堺さん
「こういうシステムを作りたい。そのためにはこの機材をどうやって使ったらいいんですか。」とか具体的な質問かな。1年目の時って何を聞いたらいいか分からなくて、抽象的な質問が多かったって自分でも思うけど、チーフを担当するようになって先輩としっかり話せるようになると、頼ることもできるようになって「これやっておいてください」とかお願いも言えるようになって。
それを経てVEの一人として先輩の中で認めてもらえたのかなって感じた時に、負い目を感じるようなことがなくなってきて、楽しくなったかな。
今では、次、中継のチーフをやるんだったら大きくやり方を変えようかなとかも思ってる。そういうことを考えるのも楽しくなってきた。変化をつけていかないと面白くないからね。

蜷川さん
この部分をちょっと変えようとか、自分がチーフを担っている時代に何かを変えたいのは確かにあるね。

堺さん
でもそれって今までやってきたシステムを完全に理解してるからこそ、こう変えちゃおうかなってできるんですよね。

蜷川さん
システム改変した方が絶対効率的だと思っちゃうからね。本当の意味で理解できるようになると、より楽しくなるし、動きやすくなる。

堺さん
それでいうとこの間の春高は、その境地に行くための第1歩で、まず1年間やってきたものを出す場だと思ってるから、1年目の子達が完全に良くできたねとは確かにならないけど、それが問題とは思っていなくて、そういうものだし、逆にそれを味わってほしいっていう気持ちもあったかな。
失敗したからといって「自分はできないんだ」とは思わなくて良くて、失敗したことを受けて、次の年に「じゃあどうしたらいいか」を考えるための機会と経験の場でもあるから。
今年入ってきた後輩に「去年自分はこういう失敗をしたよ」って言える引き出しがもうあるわけだから、それを伝えていって今度はサポートする側になって欲しいし、そういう成長の場だと思ってる。

蜷川さん
基本的に若手が担う番組だし、失敗しないために他の先輩も付いてるからね。

堺さん
先輩がいる番組で後輩が失敗する分には何の問題もないよ。よっぽどぶっ壊さない限り(笑)

Session - 05
先輩から後輩へ質問や伝えたいこと
堺さんから藤井さんへ

堺さん
仕事中に先輩に対して意見や質問は言いやすい環境?

藤井さん
言いやすい現場とそうじゃない現場がありますかね(笑)

蜷川さん
番組の内容によってはあるよね。

藤井さん
でも、映像技術部の先輩は言いやすい、話しやすい先輩が多いです。
年齢の近い先輩は一緒に仕事をする事が多かったので特にですが、それに限らず10年以上社歴が離れている先輩でも話しやすい環境を作ってくださっていると感じます。

堺さん
会社としては後輩が言える環境であって欲しいなとは思っていて、後輩が先輩に物申せなくなると風通しも悪くなるし、やりづらくなるから、それが聞けて少し安心。
言える環境が作れているかどうか、というのをどの先輩もすごく気にしているからね(笑)

藤井さん
後輩としては次から次へとステップアップする形で仕事を任せてもらえているのも有難いです。
失敗することもありますが、それも経験として次に繋がるチャンスをどの現場でも与えていただけているのは、自分にとってすごく成長のできる環境だなと日々感じています。
蜷川さんから藤井さんへ

蜷川さん
出張も多いし業務の数も多いから、なんとかみんなで協力していかないといけない。
それには藤井のような後輩の成長が不可欠。
少しでも早く成長して1つでも多くのことを任せられるように頑張ってほしいな。
チーフを担当するようになるまでは、失敗をしても責任は先輩がとるからどんな仕事も失敗を恐れずにトライしてほしい。
蜷川さんから堺さんへ

蜷川さん
堺は成長も早く今は教えることより助けてもらう事の方が多いから仕事に関しては言う事はないかな。
あとは家庭を大事にってことですかね。
昔の先輩は「子供に無視されるようになってからが本物のVE」(子供に無視されるくらい仕事をこなしていると・・・)なんて事も言っていたけど、今はそんな時代ではないのでうまくバランスをとって仕事をしてほしい。

Session - 06
fmtの仕事でときめく時はどんな時?

堺さん
フジテレビと密接に関わって仕事をする機会が多い中で、昨年はMLBのワールドシリーズを経験させてもらったりと、放送局が手掛ける仕事に入り込むチャンスがあるというのは大きなときめきポイント。
あとは大型中継車を持っているから、国際大会・大規模イベントなどの大きな仕事に携われるチャンスも多い。
放送局(フジテレビ)の仕事もできるし、外部の仕事もできるというのもときめきポイントですかね。

蜷川さん
オリンピックなど国際的な仕事を経験できるようなチャンスは放送局に近い会社でないとあまりないから、そういった案件の中核を担えるというのは大きな魅力だと思う。
その中で培ったシステム構築力とパフォーマンス力はどの会社にも負けないと自信をもって言えるのがときめきポイントかな。

藤井さん
昨年は自分の好きなアーティストが出演する番組を担当できたり、ジャンルが多岐に渡る中でこれを担当したいという希望があれば聞いてもらえる。
やりたい仕事をやらせてもらえる、というのが大きなときめきポイントです。
Session - 07
学生へのメッセージ

堺さん
テレビ番組だけに限らず、サブスク・MVなど様々なジャンルの映像を見ておくと自分の引き出しが増えて、こういうのを作りたいという目標ができやすくなると思う。

藤井さん
遊びでも趣味でも実際の現場で自分の目でライブやイベントなどを見ておくと、実際に仕事となった時にこういうふうにすればお客さんが盛り上がるんじゃないかという意識が出てくると思います。
専門学校で学べるような(専門的な)知識は入社して1か月程で身につくので、それよりは幅広いエンターテイメントに目を配っていた方が良いと思います。

蜷川さん
好きな番組・コンテンツなどがあれば、自分ならここをこう変えてみたいと考えながら見るだけでも違うよね。

堺さん
結局僕らの仕事はエンタメですからね。

蜷川さん
エンタメをどう作りたいか。どうアップデートしていきたいか、というのが仕事。
僕らはVEなので企画などの制作的な事ではなく、技術的な職人目線で少しでも考えられると良いよね。

堺さん
やりたい仕事をやらせてもらえるのがこの会社の良いところ。
実際に「お笑い番組をやりたい」、「この番組のスタッフの一員になりたい」と希望して今ではVEチーフとしてその番組に携わっている先輩もいる。
お笑いだけに限らずスポーツ好きであれば色々なスポーツの仕事もある、イベント・ライブの仕事もある、といった感じでたくさんのチャンスがある会社だと思います。

一同
(VEという仕事は)経験すると味がわかってくる楽しい仕事なので、一緒にこの気持ちよさを体験してくれる人、その楽しさを味わってくれる人を待ってます!
Session - 08
他セクションへ聞いてみたいこと

一同
fmtにはスタジオ・中継・スポーツENG・報道など様々なカメラ業務がありますが、それぞれの技術の習熟方法を聞いてみたいです!
カメラマンクロストークでその答えが明らかに?!
今後もご期待ください!

藤井さん
制作技術部に配属されてからは研修でカメラアシスタントを3ヶ月間やっていました。
1番大変だったのは27時間テレビの100キロマラソンですね。
僕は1時間半おきに小型カメラをペースメーカーの人に付け直してRECするという役割をやっていたんですが、何か緊急のことがあったらそれにも対応しないといけないし、結構きつかったですね。
VEになってからはとにかく覚える量がすごく多くて…スタジオによっても機材が全然違いますし、特に外部スタジオはシステムやら何やらフジテレビと全然違うので、すぐ理解が出来ればいいですけど、いまだに分からないことも多いので大変です。