映像技術×映像技術”縁の下の力持ち” 映像制作には欠かせないビデオエンジニアの魅力とは vol.1

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Introduction

映像制作における”脳みそ”のような存在であるビデオエンジニア。今回のクロストークでは入社年度の異なる3人が集まり、それぞれの視点から仕事の奥深さや魅力について語り合いました。

藤井

制作技術部

藤井さん

2024年入社

ロードレースやバラエティ番組など、スタジオ・中継問わず様々な現場で日々奮闘中。 《入社後1番のピンチ》収録機に音素材が届かず、収録漏れになりかけたこと。

堺

制作技術部

さん

2018年入社

現在は野球、ゴルフ、ロードレース、バレーボールなど様々なスポーツ中継業務を担当し、新中継車の建造にも携わる。 《入社後1番のピンチ》収録素材にノイズが乗っていたことが発覚し、後日修正と撮り直しをしたこと。

蜷川

制作技術部

蜷川さん

2009年入社

野球、フィギュアスケート、ボクシングなどのスポーツ中継からスタジオ、ロケなど様々な経験を経て、現在は主にスポーツ中継のVEを担当。新中継車建造の中核も担う。 《入社後1番のピンチ》飛行機に乗り遅れ、現場入りが遅れたこと。

Session - 01

入社時は何を志望していた?

堺

さん

この中でVE志望で入社した人はいますか?

藤井

藤井さん

はい!

堺

さん

僕もVE志望で入社したんですけど、蜷川さんは何志望だったんですか?

蜷川

蜷川さん

僕はカメラ志望だったな。僕が入社した当時(旧 八峯テレビ)はまだ照明部とか他の部署がなかったから、まずカメラ・VE・音声の3つしか選択肢はなかったんだよね。その中でもカメラ希望者が1番多かったんだけど、VEはどんな仕事か伝わりづらいこともあって、VEを志望して入社してくる人はほとんどいなかったな。僕もそのうちの1人だったね。最近はVE志望者も増えてきたけど、それも5〜6年前からで最近な気がする。

堺

さん

配属後、やっぱりカメラがやりたいと思うことはありましたか?

蜷川

蜷川さん

それはなかったんだよね。志望通りじゃなくても、配属されたらそこでしっかり頑張るという覚悟を持ってこの業界に入ってきたから、どこに配属されても最低でも3年は絶対に頑張ろうっていう意識でやってた。気づいたらもう16年目だけど、今となってはVEでよかったなって思ってる。

藤井

藤井さん

僕は中継車を作りたくてVEを志望しました。元々テレビ業界に興味があってこの業界のことを勉強できる学校に通っていたんですけど、就職活動中に様々な会社説明会に参加して中継車の中を見学した際に興味を持ちました。

蜷川

蜷川さん

入社して実際にVEの仕事を経験してみて考えに変化はあった?

藤井

藤井さん

変わらないですね。中継車という狭い空間の中で番組を作るためには、システム構築に対する知識も思想も必要なので高いハードルではあるのですが、逆にそれができるようになったら、他の部署に対しても経験を生かすことができると思うので、むしろ気持ちは強くなっています。

蜷川

蜷川さん

すごい!

堺

さん

僕も大学にテレビ業界を学べる放送学科があって、カメラ・VE・音声・照明・美術など様々なことが経験できる授業があったのですが、やっぱりカメラは人気で…

たまたま空いていたVEを経験してみて、調整等を学ぶ内に興味を持ったことがきっかけでした。


Session - 02

VEとはどんな仕事?

蜷川

蜷川さん

8割が事前準備とセッティングです!

堺

さん

確かに!

堺

さん

準備がほとんどを占めていますよね。

蜷川

蜷川さん

VEの仕事でよく想像されるアイリス(レンズの絞りなどを操作して映像の明るさを調整する作業)等の調整は最後の1割の段階で、準備とセッティングが終わりさえすれば、正直9割が終わっているって感じるくらい、そこまでのセッティングが重要だよね。

堺

さん

本当にその通りですね。最後の調整に至るまでの信号の仕分け方や機材の準備、そして、その土台となるシステムの構想が1番メインの仕事ですね。

制作技術の仕事(カメラ・音声・VE)を人間で例えると、カメラは“目”、音声は“口と耳“、VEは”脳みそ“だと僕は思うんです。『手を動かしたい』『足を動かしたい』という考えを実現するために信号を神経に送るように、たくさん入ってきた信号の何をどこに送るのか、といった仕組みを作り実行していくのがVEの仕事のメインとなる部分だと思います。

蜷川

蜷川さん

あとは、fmt のVEの仕事は幅が広いよね。スタッフ同士がコミュニケーションを取るためのインカムシステムの構築やスイッチャー卓の仕込み等、VE以外のセクションのセッティングもVEが担うことが多いもんね。

藤井

藤井さん

そのおかげもあってか、会社問わず様々な部署の方々と関わる機会が多いですよね。

堺

さん

そうだね。番組には技術スタッフを統括しているTD(テクニカルディレクター)がいるので認知されづらいですが、番組の技術を支えているのは紛れもなくVEであって、VEがしっかりしていないと番組は成立しないですよね。

蜷川

蜷川さん

裏番長みたいな存在だよね。

堺

さん

確かに!VEの仕事とは『信号を集約させて番組を成立させる』ことだと知ってもらえたら嬉しいですね。

社員クロストーク

Session - 03

入社後、どのようなスキルを磨いてきた?

堺

さん

まず大事なのはコミュニケーション力ですよね。藤井も言ってたけど、会社問わず様々な部署の方と関わることが本当に多いので、業務を円滑に進めるといった部分はもちろん、先輩方から経験談を聞いたり知識を教わる為にも、積極的にコミュニケーションをとった方がプラスにはなりますよね。

蜷川

蜷川さん

あとは、とにかく機材を覚えることだね。でもこれは入社したてだからってわけじゃなくて、今もそうだし、この先もずっと必要なことだけど。

藤井

藤井さん

新しい機材がどんどん出てきますもんね。

蜷川

蜷川さん

新しい機材に対して自分から知ろうとすることは大事だし、他社の方と一緒に仕事をした時とか、技術展(InterBEE等)に行ってリサーチしにいく人は多いよね。

堺

さん

そうですね。僕もそういう場で、今やっている仕事のどこをこの新しい機材で置き換えられるかな、みたいな考え方はしますね。この機材があれば、あの作業とこの作業を1つに集約できるなとか。

蜷川

蜷川さん

機材の保証期間は7年くらいが多いけど、全ての機材が同じタイミングでダメになるわけではないから、常にリサーチしつつ、次の更新のことを考えながらみんな日々作業してるよね。だから、そういう先輩達の背中を追いかけて、自分でもやってみて、失敗して覚えて。そういう経験を繰り返して磨いていくというか、自然と磨かれていくというか…

得るスキルとしては、コミュニケーション力とリサーチ力になるのかな?笑


Session - 04

VEあるある

蜷川

蜷川さん

自分がちゃんとVEになったんだなって感じたのは、私生活でもテレビのモニターモードの違いにすぐに気づけたこと。映画モードとかゲームモードとかの設定の違いがわかるようになった時に、あ、俺VEになったんだと思った。堺は何かある?

堺

さん

この仕事は、必ず機材の予備を用意したり、どんなに快晴の予報でも雨天時のプランを考えておいたり、あらゆるトラブルを想定してプランを立てておくことが当たり前なので、私生活でもそういう考え方が抜けないことですかね。例えば、旅行で充電器のコンセントを持っていく時に、予備の予備まで持っていっちゃうとか。

蜷川

蜷川さん

持っていき過ぎだよ(笑)

堺

さん

他にも、靴下とかは予備を必ず持っていっちゃいますね。旅行のプランも雨だったらここ行こう!とかプランBまで立てちゃいます。仕事で慣れているからか、考えるのも全く苦じゃないですし。VEって準備マニアなところあると思います(笑)藤井はどう?

藤井

藤井さん

テレビを見ていて、明るさとか色味とかを考えながら見るようになったことですかね。

その映像の裏側を、気づいたら想像していたりします。今フィルター入れたなとか。


蜷川

蜷川さん

裏側を考えるってあるあるだね!大型番組とかを観ていて、このシステム組むのしんどそうだなとか考えちゃうもんね。

社員クロストーク

Session - 05

VEという仕事の難しさとは?

堺

さん

1番早く来て1番遅くに帰ることがほとんどなくらい準備に時間がかかるのに、どれだけ時間をかけて準備をしても、そのシステムが使われないことも少なくはないので、そういう部分は難しいというか、悔しいなと僕は思いますね。ワイプを何種類も作って仕込んだのにあまり使われなかったとか…100%は報われないってことは割とありますよね。

蜷川

蜷川さん

そうだね。番組の構成や動きで結局使われなくても、その設定や準備はしておかないといけないからね。打ち合わせの段階でちゃんと確認はするけど、現場では何かあれば助けを求められて「VEさん!」という言葉が出てくるから、できないとも言いたくないし…

堺

さん

100準備したものが100使われるとは限らないし、あとはできて当たり前の世界ですよね。

藤井

藤井さん

失敗しないのがスタンダードですし、絶対事故を起こしちゃいけないですもんね。

堺

さん

だからこそ成功しても褒められることが少ないから、自分で自分を褒めてあげないとやりがいを感じにくいところはあるよね。同じ部署の先輩とかは「よくやったよ」とか言ってくれるんですけどね。よそからの評価は・・・難しいですよね。

蜷川

蜷川さん

これだけのシステムを簡単に使えているのは、実はVEがいるからだっていうのは特に技術チーム以外からは理解されにくいし、なかなか評価されにくいよね。

堺

さん

自分がやったことが番組の成果として表れづらいのも難しいところだなと思います。

蜷川

蜷川さん

支えてるんだけどね(笑)藤井はどう感じる?

藤井

藤井さん

僕は直接的にはそういう難しいところにはまだ踏み入ってないですけど、やっぱり出先でのコミュニケーションは難しさを感じます。

対日本人だったら何とでもできるけど、外国の方が相手だったら片言の英語でも正確に伝えないと、向こうの人もWhat’s?ってわかってくれないというのが、国際大会とかやっていると難しいところだなと。


堺

さん

トラブルが起きた時に「カメラのメニューを開いてこの設定を確認してください」とかを、海外の人ないし出先の人に分かりやすく伝えるのは難しいよね。

蜷川

蜷川さん

こっちでやっちゃった方が早いってなるね。

藤井

藤井さん

あとは、使ったことのない機材とか海外にはざらにありますが、映像が出ないってなったらやっぱり「VEさん」って呼ばれるので、行くは行くんですけど、正直「何だこの機材は?」って思うものも全然あります。困った時の「VEさん」というのがすごく難しい立ち位置だなと思いますね。

蜷川

蜷川さん

VEっていう仕事は難しいものがありますね(笑)

Session - 06

仕事の魅力、面白いと思う事

堺

さん

普段いけない所に行けるっていうのは魅力の1つだと思います。VEというかfmtだからというのはあるかもしれないですが、いろいろな現場にいけるし、普段人が入れないところに入れたりする面白さはありますよね。

蜷川

蜷川さん

僕は、やっぱり全体を支えていると思える仕事をしているから、それが1つの魅力かなと。

我々がシステムを考えていなかったら成り立たない。それをこの仕事をしていると実際に感じるな。


堺

さん

出先のある1部分だけじゃなくて全体を見る場所にいるから、番組の初めから終わりまでずっと携わり続けられるっていうやりがいもありますね。

蜷川

蜷川さん

でも残念なのが、常にモニターを通してしか現場を見られないことだよね。現場のセッティング中はもちろんいけるけど、本番では基本的にモニター越しでしか見られないから。

堺

さん

現場には行ってるけど、テレビ見てるのと変わんないじゃん!っていうあるあるですね(笑)

すぐそこでやっているのに!

蜷川

蜷川さん

カメラマンは限られたシーンしか見れないけど、我々は現場の全角度のカメラの画を見られる!でも現場の生の雰囲気を感じることは基本的には無いのが残念だよね…

藤井

藤井さん

生の雰囲気を体感できるとしたら、イベント系とかバラエティのロケぐらいですかね。

蜷川

蜷川さん

そうだね。他では基本的には本番中はモニターを見てる…これ全然魅力語れてないよね?!(笑)

堺

さん

じゃあ僕から色調整の魅力を1つ!

僕が担当している料理番組があるのですが、オンエアを見た時に、ご飯や映したかったものが綺麗に映っていて良い見え方をしていると、「ナイスな調整じゃんおれ!」って良い仕事をしたなと思える所です。ゴルフとかの中継でも、カメラマンが良いカットを撮っていたら僕らも良い調整をしたくなって、お化粧したくなりますね。めっちゃ青空を青くして、草木も緑にして、お花とかも綺麗にして。それが実際にオンエアに乗ると気持ちいいって内心思ってます。

もちろん良い画を撮ってくれるカメラマンがいてこその部分だけど、その後ろにはやっぱりVEが絶対いて、調整をしていて、善し悪しはVEも握っているなとは思いますね。


蜷川

蜷川さん

でもこれ褒められるのは大体カメラマンだから(笑)

まぁ縁の下の力持ちになれるっていうところは魅力の1つかな。


vol.2へ続く…

社員クロストーク